矢板工法

矢板工法

掘削した壁面に矢板(やいた)という木板(主に松が使用され「松矢板(まつやいた)」と呼ばれた)や鉄板(「鋼矢板(こうやいた)」と呼ばれる)をあてがい、支保工という支柱で支え、その内側をコンクリートなどで固める「巻き立て」によって仕上げる。
日本では1980年代の東北新幹線・上越新幹線建設までこの方法が取られていた。
しかしながら、事前調査の不足も重なり、特に蔵王トンネルでは工期が3年延びたほか、中山トンネルでは出水の連続から多数の迂回坑建設や300基を越える直上ボーリングの実施が必要となり、総工費が当初予定の3倍、8429億円にまで膨らみ、キロ当たりでは青函トンネルの4倍を越え、開業後の速度制限をももたらした。
今後の新幹線や高速道路にますます必要となる長大トンネルには技術的に不足があるのは明らかであった。
これらが転機となって、その後は中山トンネルの一部で試行されたNATM が主流工法となり、それまでの経験工学からの転換という意味合いを含め、今までの工法として在来工法とも呼ばれる。

シールド工法

シールド工法

シールドマシンによって掘削された円形の断面を持つトンネル。
トンネル本体が分割されたブロック(セグメント)を組み上げることによって構築される。
軟弱地盤でも掘り進むことができ、またセグメントを工場で大量製作することによりコスト削減が図れ、技術も進歩してきているため、最近の地下鉄、道路(主に都市内)、共同溝、下水道、地下水路、地下河川などのトンネル工事ではシールドトンネルが多く採用されている。

新オーストリアトンネル工法

主に山岳部におけるトンネル工法のひとつ。
掘削した部分を素早く吹き付けコンクリートで固め、ロックボルト(岩盤とコンクリートとを固定する特殊なボルト)を岩盤奥深くにまで打ち込むことにより、地山自体の保持力を利用してトンネルを保持する理論および実際の工法である。
NATMは長大山岳トンネルが多数建設されているオーストリアにおいて、1960年代に同国のトンネル技術者である、ラディスラウス・フォン・ラブセビッツ、レオポルド・ミュラー、フランツ・パッヒャーの3人により提唱された。
日本では準大手ゼネコンの一つ、熊谷組によって導入され1970年代より施工されるようになった。
当初は固い岩盤を持つ山岳でのトンネル施工にもっぱら用いられていたが、現在では多種の関連工法と併せて軟弱地盤や都市部においても用いられるようになっている。

新オーストリアトンネル工法

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